農家への道のり

病害虫防除について①

農業研修を始めて早くも2ヵ月がたちました。
毎日大変ですが、充実した日々を送っています。

現在は2週間に5000~1万株程度ブロッコリーを定植しています。
定植したブロッコリーは、その後生長を促進するための「追肥」や、病気や害虫を防ぐための「防除」をして、収穫できるまで管理します。
今回は、その中で大切な「防除」について紹介します。

まず、防除とは何か?

防除とは、

農作物に悪影響を与える病害虫や雑草を防いだり除くことを言い、「病害虫防除」や「雑草防除」というように使われます。
 辞書(広辞苑第6版)によると、「防除」とは『(1)わざわいなどを防ぎ除くこと。 (2)農業害虫や病害の予防および駆除』とあります。

農薬工業会 https://www.jcpa.or.jp/qa/a4_15.html

防除の必要性

農作物は、人間の嗜好や目的に合うように特定の形質を発達させた植物です。
そのため、病害虫も好む形質になっています。
また、経済的に見合うように同じモノを集団的に栽培しています。
そのため、病気において感染すると広がりやすいという状況です。
このような特異的な状況の中、農作物を高い品質で一定量の収量を得たい場合は、どうしても作物を保護する必要があります。
その保護となるのが「防除」です。
防除には、大きく分けて病気(病害)を防ぐものと害虫(虫害)を防ぐもの2種類があります。

病害

病害は、

  • 1つに細菌等の生物的要因によるもので、菌が伝染していくため被害が継続します。《狭義》
  • もう1つに、養分欠乏や気象条件(主に湿害や高温等)、農薬による薬害など伝染はしないものがあります。《広義》

被害

病害は、病原(ウイルスや細菌等)が生きていくため植物に寄生して増殖することで起こる結果です。
それによって、生育障害、作物の品質や収量の低下、同じ畑において病原が残っているため翌年も被害が継続するなどの被害をもたらします。

発病条件

農薬ホクレン  http://www.nouyaku.hokuren.or.jp/basis/pdf/05.pdf
  • 主因:病原体(直接的な要因、これがなければ起こらない)
  • 素因:宿主(その病原に起こされやすい作物の性質、親和性のある植物)
  • 誘因:環境条件(その病原にとって好適な環境、間接的要因)

作物が病気にかかるには、この三つの要素が必要です。
このうち一つでも満たされない場合には、作物は発病しません。

虫害

国内には農林害虫種が約2000種いて、線虫やダニなどを含めると3300種程度にも及びます。

被害

虫害は、農作物が食べられてしまう食害やアブラムシ等により養分を吸汁することで生育・品質不良、
また、吸汁によりウイルス伝搬する2次被害などがあります。

病害虫防除の基本となる考え方

病害防除の目的は、病害の発生を完全に押さえるのではなく、
生産者の経営にとって経済的な 被害を及ぼさない程度の発生に止めることです。

病害の発病には、主因である病原の他に、作物側の素因、環境条件としての誘因の三つの要 素が必要となります。
これらの要素のうちひとつでも欠けると発病しません。
また、これらの要素 が完全に除去されなくても、バランスがくずれると発病程度は軽くなります。

農薬ホクレン http://www.nouyaku.hokuren.or.jp/basis/pdf/05.pdf

そこで、三要素の各要因に働きかけることで発病を防ぎます。

  • 主因:主因(病原)の制御→殺菌剤散布や発病部の除去など
  • 素因:素因(植物)の強化→抵抗性品種や台木の利用や適正な施肥など
  • 誘因:誘因(環境)の制御→雨よけ栽培やせん定等で通気性を改善するなど

このような考え方から、近年考えられている「総合的病害虫・雑草管理(IPM)」という考え方があります。

総合的病害虫・雑草管理(IPM)とは?

IPMIntegrated Pest Management)
化学農薬だけに依存せず、様々な防除技術を組み合わせて、
経済的に被害が出ない程度に、病害虫や雑草の発生を抑制しようとすること

総合的病害虫・雑草管理(IPM)の考え方

これまで病害虫、雑草の防徐は、主に化学合成農薬が主に使われていました。
病原に直接働きかけるもので、総合防除のなかでも最も有効な手段の一つとなります。
しかし、同じ薬剤を連用したことで薬剤抵抗性の発達や土着天敵など防除対象以外の生物への影響などの問題から、
化学合成農薬以外の防除方法を取り入れる必要が出てきました。
他にも、コスト低減や環境汚染などの面を考慮した防除が必要です。
IPMの考えは、予防的措置と判断、そして防除となるべく化学的防除以外から対策するような考えです。

人のインフレンザに例えると、予防として手洗い、マスク、うがいをして、感染したら薬を飲む。
それと同じ感じで、初めから何でも化学合成農薬に頼らない。という考えです。

まとめ

以上、病害虫防除について①でした。
少し難しい話になりましたが、農業を行っていくうえで必要な考えなので時間があったら目を通してみてください。
長くなってしまったので、次回病害虫防除②に続きます。
次は、実際に防除している様子も紹介します。


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